できれば映画に浸っていたい。。

鑑賞した映画のレビューや解説を勝手気ままに書いていきます。

【番外妄想編】映画と感情移入について。

1. 客観的に自分を見るということ

正直言うと、自分を客観視することにあまり興味がなかった。人間が(自分含め)物事を客観視することなど、到底無理だろうと考えていたからだ。

じゃ、何故「客観的に〜」などと言う見出しで今回のブログを書き出したのか。

実は、きっかけがある。

 

以前からpodcastで、たまに聴いている番組がある。今は”境目研究家”などの肩書き(?)を持つ実業家”安田佳生さん”がメインで出演されている「安田佳生のゲリラマーケティング」。この中で”いかに自分を客観視するのか?”といったようなテーマでトークが展開されていた回がある(たぶん、最新回だと思う。2016.12.04.現在)。 

 テーマそのものに興味を持ったわけではない。むしろこの”不毛”とも思えたテーマで、出演者がどんなことを話すのかなぁと思いながら、寝床に入ってダラダラと聴いていた。

ここで安田さんが提示したアイディアが面白い。氏はこんなようことをおっしゃった。”道ゆく見ず知らずの他人を観察しながら(心の中で)ピックアップし、彼(もしくは彼女)に感情移入すれば(他人を主観的に見れば)、自分自身を客観視できるのではないか”と。

以前から、安田さんの発想はユニークで面白いな、などと思ってこの番組を聴いていたのだが、この提言は実に本質を突いていて凄いと感じたのだ。

 

さらに、その興味深い提言を聴いた瞬間、ある考えが自分の頭をよぎった。これって、映画観ながらスキル醸成ができてしまうのではないだろうかと。

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2. 映画は感情移入を促す装置

それが劇場だろうと自宅であろうと、劇映画(やドラマなど)を”面白がって”観れている場合、ほとんどの人は劇中の登場人物に感情移入をしている筈だ。

逆に、(そのジャンルにもよるのかも知れないが、)いかに登場人物に感情移入できるかが、その物語を楽しんだり大切に思えるか否かの”鍵”とも言っても過言ではないだろう。

 

と言うことは、意図的に他人(登場人物)に感情移入できる”テクニック”を体系化できれば、そこには結構な需要があるのでは、と考えてしまったのだ。

その知識を会得した場合、次の2つのメリットが期待できる(現時点では、あくまで妄想の域を超えないが 笑笑)。

 

①劇映画や芝居など、有料の演劇系コンテンツを深く楽しめる(つまりコストパフォーマンスがUPする)確率が高まる。

②自分自身を”擬似的に”客観視するスキルが身につき、社会適応性がUPしたり仕事がうまく行ったりなど、人生が好転する可能性が上がる。

 

仮に上記2つのスキルが本当に身につくと仮定すれば、その二次的なメリットに至っては、挙げればキリがないほど沢山あるのではないかと思う。

 

ま、そんな”甘味な妄想”に抱かれて(笑)その日はニンマリしながら眠りについたのだった。。

 

3. ある映画にまつわる実体験(??)

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実は、こんな考えが浮かんだのには最近鑑賞した”ある映画との出会い”が関係している。それは以前にこのブログでも取り上げ、ネット番組でも紹介した『永い言い訳』という作品。かの、モッくん主演の最新作だ。私はこれを2回鑑賞したのだが、それにはワケがある。

 

私は泣ける映画が大好きだ。それだけ現実に感動が少ないからかも知れない(笑)。この作品は宣伝を見るに、人の”死”を扱ったヒューマンドラマであることは明白だった。したがって、これはきっと魂に訴えかけてくるような感動の物語なのだろうと。もう”泣く気満々”で劇場に足を運んだのだ。本編が始まって数分で、私はモッくん演じる主人公の”衣笠幸夫”に感情移入する。

 

映画自体は見応えもあったし、演出の妙と言うか感動を呼び起こす(ような)エッセンスも”ビシビシと”感じたにも関わらず、イマイチに胸に迫るものがなかった。要は泣けなかったのだ。ある意味”イタイ”、主人公の”人となり”みたいなものに深く感情移入し過ぎたからかも知れない。

実は、彼のキャラクターや(歪んだ)価値観は自分自身に似ているところがあった(残念ながら顔は似ていないが 笑)。それゆえ尋常なく感受移入してしまったのだろう。

 

番組で取り上げるつもりで観に行ったにも関わらず、全く言葉が出てこない。それでも直感的に、映画ファンとして”人に紹介する価値のある映画”であろうことは感じていた。これは、何とも悔しい。。それで2回目の鑑賞を試みることにしたのだ。

 

2回目は、主人公の奥さん”夏子さん”と、竹原ピストル演じる友人家族の亭主”陽一くん”に”意図的”に感情移入してみた。すると中盤くらいから涙が溢れ出て、止まらない。この作品に対する感想の言葉も色々と湧き出てきた。決して違う作品を観たようだったと感じたわけではない。しかし、心への入り方が全く違ったのだ。

 

人は、その拠り所となる”視座”によって、大きく物事の捉え方が変わってくる動物なのだろう。だとすれば、映画鑑賞という極めて日常的な行為の中に、何か体系化するに値する知恵や情報が隠されているのでは、と思えてならない。

 

いつものpodcast番組を聴いていて、そんな想いが頭から湧き出てきたという話。備忘録として、ここに記しておくことにする。

eiganihitaru.hatenablog.com


映画『永い言い訳』 『シェルタリング・スカイ』広尾のシネマ☆JACK#3

 

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