できれば映画に浸っていたい。。

鑑賞した映画のレビューや解説を勝手気ままに書いていきます。

映画「ダゲレオタイプの女」と「イレブン・ミニッツ」 最近作にみる、論理的”技法”で魅せる映画たち。

「ダゲレオタイプの女」(2016年) 【あらすじ】 舞台は”現代の”パリ郊外、再開発計画エリアにある街。 主人公の青年”ジャン”は就職難の中、比較的待遇の良い「写真家”ステファン”の助手」に応募し、アッサリと採用される。 写真家”ステファン”はフランス発…

独断と偏見に満ちた「2001年宇宙の旅」解釈論 ※ネタバレ注意

「2001年宇宙の旅」(1968年) 【ストーリーについて】 まず、この物語は神=創造主の”正体”に対する科学的なアプローチを主題としている。(スピリチャルな切り口は敢えて排している。)モノリスは究極の人工物であり、コンピュータとか人工知能みたいなも…

映画にみる、出逢いと人生。「ベストセラー」と「レッドタートル」について。

【映画情報】広尾のシネマ☆JACK#1 「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」(2016年) 【あらすじ】 1920年代、ヘミングウェイやフィッツジェラルドなどアメリカ文学を代表する著作を手掛けた名編集者マックスウェル・パーキンズ(以下、マックス)と彼に…

いかにも”嘘っぱち”だが、どこかリアルで魅力的な映画たち。

ふきげんな過去(2016年) 【あらすじ】 つまらない日常に辟易し、なんとなく毎日を過ごす女子高生・果子(二階堂ふみ)が主人公。彼女はエジプト風豆料理屋「蓮月庵」を営む祖母サチ(梅沢昌代)、母サトエ(兵藤公美)、無職(?)の父タイチと共に暮らし…

意外と硬派で深い、、福山雅治主演の新作映画。

「SCOOP!」(2016年) 【映画情報】「SCOOP!」〜広尾のごきげん空模様#80〜 【あらすじ】 ある出版社の雑誌(写真週刊誌)「SCOOP!」の編集部が物語の舞台。 主人公はフリーカメラマン”都城 静(みやこのじょう しずか)”。ミドルエイジのちょいワル(?)…

一過性の恋に翻弄される若者たち。〜映画「エクス・マキナ」&「教授のおかしな妄想殺人」〜

「エクス・マキナ」(2015年) 【あらすじ】 主人公ケイレブは、世界有数のWEB検索システム会社”ブルーブック”(Googleがモデルと思われ)に勤める有能なプログラマー。 ある日ケイレブは社内抽選に当たり、CEOのネイサン宅に招待される。 ここで社長とマン…

微笑ましくも何だか切ない。。過ぎ去りし日の青春物語。〜映画「グッバイ、サマー」〜

「グッバイ、サマー」(2015年) 【映画情報】「グッバイ、サマー」〜広尾のごきげん空模様#79〜 【あらすじ】 14歳の少年ふたりが繰り広げるひと夏の冒険(?)物語。 女の子のような容姿(言いかえれば美少年といえるのでは?服装はいたって男の子)で、ク…

人は妖精たち(自然)と宴を共にできるか? 〜映画「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」〜

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(2014年) アイルランド伝説に登場する想像上の生物”セルキー”を母親に、普通の人間を父親にもつ兄妹の物語。セルキーは海の中ではアザラシ、陸上では人間の姿をしている妖精の一種らしい。そして、この物語は多くの妖…

時間を超越したコミュニケーションについて。〜映画「ひそひそ星」& 「すれ違いのダイアリーズ」〜

「ひそひそ星」(2015年) 【あらすじ】 かなり先の未来、人類は多くの失敗(災害や戦争と思われる)を繰り返し、人口は激減。宇宙には平和が訪れているが、人口(?)の80%を占めるAI搭載ロボットが世界を支配している。(面白いのは、このロボットたちは決…

映画にみる、ヨーロッパの”死生観”。「神様メール」&「素敵なサプライズ 〜ブリュッセルの奇妙な代理店〜」

「神様メール」(2015年) 制作国:ベルギー・フランス・ルクセンブルク合作 世の中の嫌なことって、全て一人(?)の意地の悪いゲスな神様のせいなんだよ、だからそいつを排除して、みんな幸せになっちゃおうぜぃ♫っていう、どこかシュールなファンタジー・…

イヂメぬかれるオトコたち。〜映画「ノック・ノック」&「白い肌の異常な夜」〜

「ノック・ノック」(2015年) 映画「ノック・ノック」ショートレビュー 【あらすじ】 愛妻と二人の子供に囲まれ、絵に描いたような平和な家庭生活を送る主人公エヴァン。 休日に家族とビーチへ出かける予定だったが、急に舞い込んだ仕事をこなすため、エヴ…

鉄男 TETSUO(1989年)

この映画は、”サイバーパンク”の系譜に位置づけられる作品だが、他とは一線を画する強烈な個性を放つ。そこには近未来を想起させるようなシャープさやカッコ良さは無い。むしろ、なんかドロドロとした恐ろしさやエロさ、人間の業を具現化したような醜さを表…

笑えて泣けて、あったかい。。映画「アスファルト」について。

「アスファルト」(2015年) 映画『アスファルト』予告編 ”笑い”というのは実に奥深い。意外に、それは”恐怖”や”哀しみ”といった一見異なる感情の機微と表裏一体だから。 本作は、特に独特の”ユーモア(あるいはエスプリ?)”と”哀切感”との取り合わせが極め…

愛すべきジム・ジャームッシュ初期の傑作たち。

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年) ニューヨーク〜クリーヴランド〜フロリダを舞台にした半ロード・ムービー。博打やイカサマで生計を立てる気ままな青年の二人組、ウィリーとエディ。ある日、母国ハンガリーから渡米してきたウィリーの従妹エヴァ…

ゴジラ今昔物語。

ゴジラ(1954年) これは”怪獣映画”の体をなした、極めてリアルな社会派ドラマだ。核開発など”力の論理による秩序形成”に対し、強い警鐘を鳴らす。 「暴力による問題解決」に向けられた老教授の”憤り”。 ゴジラの容赦なき破壊行為に対する民衆の”怒り”。 純…

ニキータ(1990年)

物語の世界において、なんとも不条理な運命に翻弄され、もがく主人公の有り様は実に切なく哀しく、そして美しいものだ。 この映画の主人公、ニキータと名乗るその少女は、冒頭で情状酌量の余地が無いほどの重大な罪を犯して警察に捕らえられる。それも、はず…

映画「ニュースの真相」で魅せる”レオニダス王”的 心意気。

「ニュースの真相」(2016年) 興奮した!凄い面白い!!もしかしたら、(現時点での)本年マイベストワンかも。 2004年、CBSの番組がブチまけたジョージ・W・ブッシュ米大統領の軍歴詐称(?)疑惑報道。本作は、その”スクープ自体の真偽”が疑惑となってし…

映画とナチス・ドイツ。。

「栄光のランナー 1936ベルリン」(2016年) ナチス政権下のベルリンで開催された1936年のオリンピック。これは、その大会で前人未踏の四冠を果たしたアメリカ代表ランナー、ジェシー・オーエンスの半生を描いた伝記映画だ。 映画『栄光のランナー/1936…

映画「LOVE【3D】」に観る、”愛しさ”と”切なさ”

「LOVE【3D】」(2015年) 映画「LOVE」ショートレビュー 【あらすじ】 主人公”マーフィー”は、妻の”オミ”と未だ幼い息子との三人暮らし。 オミが息子の面倒に明け暮れる日々のためか、夫婦間に流れる倦怠感がマーフィーの心に暗い影を落としている。 元旦…

アイルランド映画における若者たち。

「ブルックリン」(2015年) この映画も、先ずは映像が印象的。40年代〜50年代の”アメリカ製ポスター”から飛び出して来たかのような、パステル調でクラシカルな色彩。衣装も含め、緑と赤を強調した色合いが「アメリ」とかを彷彿とさせる。 内容の方は、、ピ…

生き様にこだわるオトコたち、その明暗。。「スティーヴ・マックィーン その男とル・マン」&「海よりもまだ深く」

「スティーヴ・マックィーン その男とル・マン」(2015年) 往年の大アクション・スター、スティーブ・マックィーン入魂の一作「栄光のル・マン」制作にまつわるエピソードをとおして、彼の半生を追ったドキュメント。この作品は、カーレースに魅了された”彼…

知らない、ふたり(2016年)

この映画の登場人物って、みんな少しずつ変わり者(笑。 その人間的ズレみたいなのが独特のユーモアやリアリティを醸してるような。 特に青柳文子演じる小風の”気持ち悪くない変人ぶり”が印象的。 片想いの連鎖のような、ちょっと風変わりな恋愛感情の機微を…