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できれば映画に浸っていたい。。

鑑賞した映画のレビューや解説を勝手気ままに書いていきます。

愛すべきジム・ジャームッシュ初期の傑作たち。

映画 恋愛 ヒューマンドラマ コメディー

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年)

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ニューヨーク〜クリーヴランド〜フロリダを舞台にした半ロード・ムービー。博打やイカサマで生計を立てる気ままな青年の二人組、ウィリーとエディ。ある日、母国ハンガリーから渡米してきたウィリーの従妹エヴァが、急に訪れてくるのだが。。

 


Stranger Than Paradise (1984) Trailer

 

全編、白黒で長回しカットを多用した作り。ロードショー当時はジム・ジャームッシュ云々というよりも、ジョン・ルーリー(スタイリッシュなイメージの強かったミュージシャン)主演のオシャレ映画って印象だった。

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主人公の所作や服装、部屋の感じ、車などの”スタイル”に興味を持てるか否かが、この映画を楽しめるかどうかの分かれ道なのかも知れない。それほど、大した出来事もなく淡々と物語は進行していくように見えるのだが。。

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ところが、このままでは終わらないのが本作の面白いところ。終盤、なんか突拍子もない出来事が急に飛び込んできて、実にシュールな展開となっていく。
そして、なんとも不思議な余韻に浸りながらエンドロールを眺めることになるのだ。

  

ダウン・バイ・ロー(1986年)

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ひょんなことから同じタイミングで収監されてしまった3人の、出会いと交流が描かれた本作。序盤はそれまでのジムジャ作品のように、ちょっとシニカルに”引いた”タッチで始まるのだが、次第に3人の登場人物たちへフォーカスしていく。

 


DOWN BY LAW (1986) | Official UK Trailer - in cinemas 12th September

 

とにかく彼らのキャラがそれぞれに立っていて面白い。特に、役者としてのロベルト・ベニーニが素晴らしい!!一見ウザくも感じられるキャラなのだが、段々とこの物語に人間的な”暖かみ”と”ユーモア”を添える役割を果たしている。

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(妄想の域を超えないかもだが、、)もしかしたらジム・ジャームッシュは、ロベルト・ベニーニとの出会いによって、彼なりの(商業)映画のスタイルを完成できたのではないだろうか。この作品で感じた”暖かみ”は、処女作「パーマネント・バケーション」や前作「ストレンジャー・ザン・パラダイス」ではあまり感じられなかったからだ。

逆に、なんともシュールなラスト・シーンはまさに処女作から続く”ジムジャ節”(笑)。特に、前作ラストと”対”を成すような終わり方は、観る者の妄想を掻き立てて楽しい。

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映像は前作同様にモノクロだが、より絵画的で奥行きのある印象。撮影監督は前作と異なり、ヴィム・ヴェンダースの「パリ・テキサス」や、サリー・ポッターの「タンゴ・レッスン」を撮ったロビー・ミューラーが務めている。

 

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年)

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北米や欧州など5つの街での、5つのエピソードからなるオムニバス作品。その全てが、夜間でのタクシーの運転手と乗車客の会話を中心に成立している。
そして、どの物語もジム・ジャームッシュ特有の、”何気ない日常をシニカルに切り取った”ようなシチュエーションに、”さりげない荒唐無稽さ”をしのばせていて、なんだか可笑しい。

 


Night on Earth - Trailer - Jim Jarmusch

 

とはいえこの映画、ガチなコメディでもない。一話から四話までは少しずつ”笑い”のトーンを上げていきつつも、ラストの五話では。。 なんかエンディングにかかる曲が、妙に胸に沁みる心境に。

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5つの中での個人的なお気に入りは、三話目”パリ編”。盲目の女性客を演じるベアトリス・ダルの強烈な演技と胸元(笑)が印象的。あい対するのは、コートジボワール出身の若くて少々意固地なタクシー運転手。彼が一目置いてしまうほどの、独特な魅力を放つキャラをダルが演じきっている。
そして、このエピソードのオチは、なんだかビートたけしの「座頭市」のラストを連想させるような、ちょっと粋な締め括りとなっているのだ。

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ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]

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